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AQUABEAMロボットシステムによる経尿道的前立腺切除術(Aquablation)とは?
Aquablation(アクアブレーション)とは
Aquablationは、AQUABEAMロボットシステム(PROCEPT BioRobotics社)を用い、高圧水流により前立腺組織を切除する新しい経尿道的前立腺手術である。リアルタイム経直腸超音波(TRUS)画像を用いた切除範囲のプランニングとロボット制御による水流切除を特徴とする。従来のHoLEPや光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)とは異なるコンセプトで前立腺を切除する術式であり、2017年に米国FDAの承認を受け、本邦では2023年に保険収載された。
AQUABEAMロボットシステムの構成
AQUABEAMロボットシステムはコンソール、ハンドピース、ロボット連結アーム、TRUS装置から構成される(図1)。術者はTRUS画像を参照しながらコンソール上で前立腺の切除範囲を設定し、ロボットに連結されたハンドピース(図2)から噴出する高圧水流(water jet)により前立腺組織を切除する。

Aquablationの切除原理
Aquablationでは、ハンドピース先端から噴出する高圧水流によって前立腺組織を切除する。water jetは高圧ポンプによって加圧された水をノズルから噴射し、その運動エネルギーにより組織を物理的に切開する。
AquablationではリアルタイムTRUS画像を用いて切除範囲を設定し、ロボット制御により計画された範囲のみを高速かつ自動的に切除することが可能である。水噴射圧は約3,400~69,000kPaと高圧であるが、ロボット制御により設定範囲を超えた切除は生じない。Water jetは最大24.3mmまで到達するが、圧力は距離とともに減衰するため、遠位では軟部組織は切除される一方、コラーゲン繊維などの強固な組織は残存する。また熱エネルギーを用いないため、周囲組織への熱損傷が少ない点も特徴である(図3)。

手術手技の実際
手術は全身麻酔または腰椎麻酔下に砕石位で行う。まずTRUSプローブを挿入し、前立腺形態を描出する。続いて経尿道的にハンドピースを挿入し、TRUS画像を参照しながら前立腺の切除範囲をプランニングする。切除範囲の設定後、water jetのアライメントを調整する。
フットペダルを踏むことでwater jetが噴出し、ロボット制御により膀胱頸部から前立腺尖部に向かって前立腺組織が自動的に切除される。通常は2 passで十分な切除が可能である。TRUS画像を用いた切除範囲の設定により、精丘周囲やejaculatory hoodを温存することが可能であり、これが術後の射精機能温存に寄与すると考えられている。
プランニングに沿った切除が終了した後、ハンドピースを抜去し、止血操作に移る。まず切除に伴う出血により生じた血餅をエリックで回収し、切除鏡を用いて止血を行う。Water jet切除により膀胱頸部が十分に開大しているため灌流は良好であり、視野確保が困難となることは少ない。Water jet切除面にはfluffy tissueが生じるため、これを除去する。膀胱頸部には前立腺動脈の分枝が流入しており、fluffy tissueの下面に動脈性出血が隠れている場合があるため、fluffy tissueを除去して電気凝固を行う。この操作はfocal bladder neck cautery(FBNC)と呼ばれ、Aquablationにおける重要な止血手技である。FBNC導入以前の輸血率は2.3%であったが、導入後は0.1%まで低下したことが報告されている。
周術期の実際
術後は22Fr 3way 尿道カテーテルを留置し、持続膀胱灌流を行う。ほとんどの症例で、帰室後6時間から翌朝までに持続膀胱灌流を休止することが可能である。尿道カテーテル留置期間は2~5日間(中央値2日間)である。術後2週間から4週間はスケール1の血尿が続くため、激しい運動や性行為などは術後1か月程度控えるよう指導している。当院の患者さん向けリーフレットを掲載する(図4)。
メリット(既存術式との比較)
Aquablationの利点として、①TRUSとロボット制御による再現性の高い切除、②熱エネルギーを用いないことによる周囲組織への影響の低減、③術後射精機能温存率の高さ、④手術時間が短く前立腺体積の影響を受けにくいこと、⑤術者の疲労が少ないことなどが挙げられる。
適応と禁忌
Aquablationについて適正使用指針が日本泌尿器科学会ほかから示されており、適応と禁忌を図5に示す。手術前に膿尿を認める症例や尿道カテーテル留置中の症例では、必ず術前に尿培養をとり、感受性のある抗菌薬で除菌をしてからAquablationを行う。
治療成績
Aquablationの下部尿路症状に対する治療効果はTURPと同等であり、術後5年間まで安定した症状改善が報告されている。HoLEPとの比較ではQmaxはやや劣るものの、IPSSおよびIPSS-QOLは同等であり、術後の射精機能温存率はAquablationで高いとされる。さらに術後尿失禁や尿道狭窄などの合併症は、HoLEPやTURPに比べて少ないことが報告されている。
AquablationはリアルタイムTRUSガイドとロボット制御を組み合わせた経尿道的前立腺切除術で、手術時間の短縮と射精機能温存が期待できる術式として、さらなる臨床データの蓄積が期待される。